本気ストラト!にかける想い
ちょっと話が長いので、面倒な方は色つきの文字だけつなげて読んで下さいね。 

本気シリーズ第2弾として、トライする本気ストラト。
突然思いついて始めたこの企画、途中で曲がらない様、コンセプトをまとめてみました。


スタートは2010年オフ会で、本気フランケンをいたく気に入って頂いた方から
「ストラトを作ってみて欲しい」と言われ、
その時は乗り気が無かったのですが、その後色々あって重い腰が上がりました。

なんで気が乗らなかったかを改めて考えてみると・・・

本気フランケンは
@EVHレプリカの300万という価格設定が、工業製品としてあってはならない!という反感
A15万で楽器として優れたギター(=本気で使えるギター)を作る自信が(なぜか)あった
B「誰もそこまではやらないだろう!」 という徹底追及を極める楽しみがきっと山ほどある
C作った人にしかわからない謎解きや新発見があり、やりがいや達成感が非常に高い 

実際に作った結果、見た目もディテールの再現度もクオリティも、達成感までもが
とても充分満足できる仕上がりでした。

しかしストラトキャスターはというと


@いろんなプロの方がレプリカを作った前例が山ほどあるので、珍しい物ではない  
A他の人がやっている事をやるのが嫌な性格なので、いくら極めても達成感が薄い 
B極める物を作る楽しみが見出せなかった為に、クラフト魂に火が点きそうにない。 
C良い材が入る見込みが無い。もしあっても買えるような値段じゃないから結局無理


という事で、やりがいや、作る意味や楽しさが見出せなかったのです。
結果、「今はその気がない」とお答えしました。




しかし!突然気が変わりました

ものすごく話が極端で恐縮ですが、京都のお寺へ行った際、その床を見て驚きました
厚み15〜20cm、幅40〜50cm、長さ5m以上のワンピース材が床にずらりと並んでいる
現在の木材事情ではこんな建物のレプリカ建立や修復は到底できそうにありません。

ギター材に目をむけても同じ事が言えると思います。

1954年当時は、今とは木材事情が全然違って良い材が豊富に手に入ったと思います。
(1959年のレスポールでトラ目は特殊材料ではなく、普通にメイプルを使っていました)

今の日本の状況はと言うと、

ワシントン条約でマホガニーやハカランダや、日本に輸入する事ができない材も増え
良質なギター材の流通状況は、どんどん悪化&高騰してきている状況だと感じます。
ギターはネック材が命だと常に思ってます。だからヴィンテージギターに勝負するには
この悪化した木材事情では、当時に勝てる材の調達が到底無理だと思っていました。

だから、

Cの
「良い材が無い」という理由が、私のストラトを作る必要性を阻害していたのです。
結果的に@〜Bの理由の、自分らしく拘って楽しめる理由に行き着かなかったんです。

ところが!


最近、ギターボディメーカーの
米国Musikraft社でマネージャーをしている友人を通して
ネックやボディを何点かオーダーしているうちに、日本では入手し難い材や感動的な
杢の良質材が安く、そして
毎回安定した品質で供給してもらえる事が判ってきました。
しかも、細かなフルオーダーをするにもかかわらず、空輸時間込みでも短納期です!

だったら!

「ここならいい材を用意してくれそうだ」と思い、
ストラト用の妥協しない材を注文すれば
クラフトや所有する気持ちを満たし、低予算でも徹底的に音に拘れるストラトがく作れる
そんな目処が立ちました。


話が長くてすみません・・・

基本Fenderは作業効率を考え、Gibsonみたいな家具職人を集めた様な工場ではなく、
写真やビデオが残っている通り、
大勢のパートさんみたいな方が作業されていました。
ストラトは、そんな環境が前提でも、ある程度のクオリティが保てる設計をしています。

つまり、熟練職人でなくても、そこそこの物が作れるという事を念頭に置いた設計です。

だから、本当にストラトって(テレキャスも含めて)楽器として優れているのでしょうか?


ネック仕込み角を調整するのにシムを挟むなんて、振動伝達を考えたら疑問ですね?
楽器や家具の木工職人ならきちんと隙間ができない様に木を削って仕上げますよね?
でも、それらの独自工法を要因とした独特な音が時間をかけて世の中に受け入れられ
60年近くも全く色褪せない素晴らしいデザインにより、エレキギターの代表モデルとして
生き続けてきました。結果的には近年の工場が学ぶべき生産効率を当時採り入れた
レオのコンセプトは素晴らしいものであり、ストラトの大成功は疑う余地がありません!

じゃあ、もし当時のクオリティに負けない材が手に入って、
当時のFenderのオバチャンに負けない職人魂で組上げたら
どんなに良いギターができるんだろう?

そんな疑問を晴らすチャンスがやってきました!
それが本気ストラトなんです!


今回はヴィンテージ仕様には拘りません。良い物は現代の物を使います。

@ショートスカートのボリュームノブや丸いセレクターノブは、今回のコンセプトには必要ありません。
A54当時のアメリカ製機構パーツは追求する意味がないです。やはり高精度の日本製が良いです
Bピックアップは当時から社内製。熟練工が巻いていた訳ではなくイバラさんも新人作業員でした 
だから最低限の54仕様を満足していれば、当時のクオリティは充分凌駕できるはず。
レオが自社で作るという事は、コストをかけて作っていない証拠だと思います。だから
余計な人件費や流通経費で無駄に高い輸入PUではなく、国産の適価PUをセレクト
C現在の方が質が良いと思われる工業製品は、外観やヴィンテージ仕様に拘る事なく採用します。
例えばピックアップからのケーブル。ヴィンテージといえば布被服というイメージですが、
芯線の素材は現在の方がHi-Fi仕様です。また半田もヴィンテージが良いとされてますが
酸化し切った素材よりも最近の素材の方が質が良いです。採用する意味が判りません。
そのうち熱く語りますが、半田で音が変わるという事は半田付けが下手な証拠ですから。
Dレリックはしません。手間をかけた分だけ音が良くなる訳がなく、楽器としては後退するだけです。
E単なるスペック追求ではありません。例えば当時の極厚ネックも時代背景による理由があります
・ピックアップのポールピースがなぜ3弦だけ高いのか?  
・ストリングガイドがなぜ1・2弦だけなのか?3弦が緩いぞ!
この二つは間違いじゃなくて極厚ネックと共通の理由があるんです。

見たことも触ったこともないヴィンテージ1954ストラトへの真っ向勝負!
って、もちろん勝ったも負けたも判断できないんですけどね〜ww

ちなみに、

現在高額取引されているヴィンテージストラトと勝負して負ける気はありません。

オリジナルパーツでなければならない高額ヴィンテージギターは消耗品交換等の楽器としての
メンテナンスをしてはいけません。って事は、すでにギターではなく、高級オブジェです。。
同じヴィンテージギターでも、
プロミュージシャンがステージでバリバリ使うギターで、
きちんとメンテナンスや部品交換がされているギターが目標です


体にガタが来ても医者にも行けない老人相手に本気でかかって勝っても嬉しくないです。
何か目標を持ってバリバリ活躍している素晴らしい高齢者か、その方が若かりし頃の
パワーに立ち向かう方が、やりがいがあるという物ですから。
まあ、勝てるとは思えませんが、目標は高いほうが楽しいじゃないですかww