AD-body

 ボディの入手
ED-guitarのボディは、
米国Locke Custom Guitars にて購入ができる。
品番は、LCG006だ。

http://www.lockecustomguitars.com/guitarbodies?product_id=6

日本にも輸入はでき、取り寄せてみた。

後述する問題はあるがアウトラインは米国内でお墨付きなので
参考になる。
なぜ問題か?
フロイドのスタッドとリヤPUの座繰りが近すぎると思わないか?

エディはご存知の通り激しいアーミングが売りだ。
5150ですらスタッドのPU側にクラックが入っている。
フロイドをどこかにぶつけた可能性もあるが、ここの強度は
充分に確保されなければならない。
しかも
ボディ材は堅いアッシュではなく、柔らかいバスウッドだから
この寸法は致命的だ。
これはLG製だからではない、エディが広告で持つギターも
この寸法になっている。

私はこのギターが短命に終わったのは、
ここの寸法不足であっという間に壊れたのでは?

と想像する。
すぐに5150が提供されたという説もあるにはあるのだが・・・

実測してみた。
スタッドのネック側面からリヤPUの縁まで。

1弦側:7mm
6弦側:6.5mm
この寸法を、最低でも5150の10mmにしなければならない。
 (オクターブが調整でき、アーミング動作に異常が無い事)
対策1
バスウッドボディのまま、スタッド前の寸法を10o確保する
対策2
スタッド周辺を強化する

いかにイメージを壊さず、10mmの寸法を稼ぐかを考え、
@PU座繰りのブリッジ側の縁を2mm移動
Aスタッドをボディエンド側に2mm移動
にて、4mmの寸法を捻出する。結果、
スタッド前寸法は10mm以上を確保できる!

スタッド周辺をφ11oのメイプルで作り直す。
さらに2mmスタッドを後退させることにより、事実上スタッド径の拡大と
リヤPUキャビティまでの距離を稼ぐので、スタッドが前に倒れようと
する力を分散させて強度を増す。
まずはスタッド位置を計測。

バスウッドでボディを一から作り直す。
上の写真と比較して欲しい、
頼りなかったスタッド前寸法が充分な余裕を持つようになった。

メイプルの端材でプラグを作る(木目の方向は強度を意識している)
φ11oの堅いエリアができるので、ここにスタッド穴を開け直す。
ただ、オリジナル位置よりも2mmブリッジ側へ移動させる


4mmクリアランスが広がった為、
1弦側は10mm以上を確保、6弦側は頼りなさが無くなった。


クリアランス拡大量はスタッドをオフセットした2mm。但し、スタッドの前
に堅いメイプルがガッチリガードしていることが判る。
実際にフロイドのスタッドを立て、PUと共に置いてみた。
こちらがLGボディのオリジナル。

エディがKramerのポスターで抱えているADギターと同じ状態。
4mm余裕を持つオリジナルボディ。
やはり安心感が違う。

気になるのはPUの傾き、スラントの状態。
仕上がった時に気になる違いとなるかどうか?

気になる場合は何らかの手を打ちたいと思う。
なぜこのボディになったのか?
このボディについて詳細に分析した物は見当たらない。だから想像の域を超えない前提で読んでいただきたい。
このADギターはKramerのロゴが入り、契約をしたエディを広告塔に使うためのポスターで使用したギターだ。
まずは、どんなギターが良いのか、Kramerがエディに聞いたとしよう。
5150までの流れで想像するスペックは以下の通り
●フロイド付けたい
●ボディは軽い方が良い
●PUは直付け
は最低限リクエストしたであろう。

ひとつ引っかかるのがフロイドローズだ。1983年のブラジルツアーの写真を見ると、FRT-5を使用している。
例のKramerのポスターもFRT-5だ。
ブラジルツアーが行われた1983年はまだFRT-3の時代。と言う事は、FRT-5のプロトを最初に搭載したのは
5150ではなく、このADギターと言う事になる。
プロトの状態でポスターに掲載してしまっても良かったのか???
まあそこは良いとして、

既存のKramerボディを改造したのであれば、フランケンに見るようなPU座繰りのガタガタ感があって良いのだが、それは無い。
全体のフォルムを見るとプロのデザイナーの仕事かどうか疑わしいバランスと私は思う。
だから
エディが打ち合わせの時にチャラチャラっとボディデザインやPU座繰り等を手書きしてKramerに作らせたのではないだろうか?
その上で上記リクエストを追記する。
どちらの「力」が強いかと言うと、当然エディである。
Kramerはエディのリクエストを忠実に再現する義務があったに違いない。

結果として、スタッド前に余裕のないギターが生まれた。
もちろん、酷使して壊れる事はこの段階では想定できていなかったであろう。

結果、このADギターはスタッド周辺の強度が弱く、エディのアーミングに耐えられず短命に終わってしまったと想像する。
ひょっとしたら5150までの繋ぎ役だけだったかもしれない。そういう意味では5150のプロトタイプと言っても大げさではないだろう。