ボディの加工・塗装


シーラー×2 ケバ取 砥粉 シーラー 砥粉 黒×2
押さえ
クリア
シーラー×4 充分乾燥 平滑 シーラー 黒×2
押さえクリア×2 充分
乾燥
リヤPU
ザグリ
テーピ
ング
白×4 押さえ
×1
F/M PU
ザグリ
シンクロ
ビス穴
レリック テーピ
ング
白×1 赤×3 テープ
剥ぎ
完成
飴色
適宜
押さえクリア
×2
レリック
穴あけ
なお、ここで使う塗料はプロのギター職人が使う塗料を使用。この塗料は、
●10倍は違うと思うほど、塗料の吐出量が多い
●吐出量は多いが、厚塗りしてもタレてこない
●10分後には触ってもペタペタせず、20分後に重ね塗りができる
等、カンスプレーとは全く別の次元だ。
なので、ここの作業を缶スプレーで行う場合は、実際の仕上がり状態を見て吹き付け回数等調整して頂きたい。

実際の回数調整は、下地の色の隠蔽状態で判断すると良いと思う。
隠蔽具合の目安は、黒の上の白は、黒を完全に隠蔽
赤は、下地が黒の部分に注目し、若干黒が透けて見える程度

この工程は通常のプロのプロセスとも違う。フランケンに相応しい工程に特化している。
例えば、表面を綺麗に平滑するため、何度か行われるサンディングが一部省略されているのも、
「エディはそこまでしないだろう」との予想に基づきパスしている。
これが入手した状態のボディ材。

ライトアッシュ
センター2ピース
70年後期のコンター形状
シンクロトレモロ用ざぐり
ピックアップざぐりはラウンド型
今回はオールニトロセルロースラッカーで塗装。
エディが塗装をした頃の自転車用塗装もラッカーと判明している。

サンディングシーラー2発。
1発目は軽く、2発目はちょっと厚め
320番で表面のケバを取った後、
との粉を刷り込む
との粉が乾くまで20分から30分ほど放置し(左)、
再びサンディングシーラーを塗布(右)
黒を一発!
すると、導管の埋まっていない部分がすぐ判る

今回は左右のホーン先端が埋まっていなかった
再び目止め。
そして黒を2発+押さえクリアを一発。
サンディングシーラーを4発。
上の写真に比べるとさらに目が詰まってきているのが判る

ここでサンディングシーラーを吹くのは、レリック加工で白を削る際、
下の黒まで削り過ぎないようにするため。
平滑に入る。

まずはコーナーRを#240で軽くサンディング
ベルトサンダーでサンディング。
さすがにこれは素人にはできないので、プロにお願いした。
導管で凹んだ部分にはヤスリが当たらないのでツヤが残る。
そのツヤが消えるように#240でヤスリを掛け導管の凹みを消していく。
その後、#240→#320→#400で全体をかけ、
ペーパーサインを段々と細かくしていく。
ひと通りキレイにしたらサンディングシーラーを一発。

生地が見えてしまっているが、まだ着色するのでここではOKとする。
そして黒を2発。

多分ここまでの塗膜厚は0.2とか0.3mmの極薄です。
さらにクリアを2発。

これで乾燥したらマスキングに移る。デジカメで撮る自分の姿が映り始めた
なお、導管は完全には消えてなく、うっすら凹んでいる。
ラッカーは痩せていくのと、フランケンなので徹底した追い込みをしていない。
リヤピックアップのザグリを彫る。

まずはキズ防止のフィルムを貼り付ける。
その上にテンプレートを置いて・・
ザグる部分をテンプレートの上からなぞる。
すると保護フィルムにうっすらと転写される(右写真)
(今なら赤いカーボン紙で行うので、若干工程が省略できる)
白マジックでトレース。
そのままフロントとセンターPUもトレース。
テンプレートを再び乗せて形状に間違いが無いか確認。
ザグリ部の保護シートを切り抜き、
トリマーをかけてPUザグリの
出来上がり。
相変わらずウルサイ工具だ
ストライプ忘れ防止として、テンプレートに白黒用テーピング位置を
白マジックで引いてた。
これならマスキング忘れも一目瞭然!
マスキング後にテンプレートを重ねて確認。
かなり正確に引けてます!!
ストライプの曲がり方からすると、恐らくエディは伸縮の効くビニール系テープを
使っているはず。
紙のマスキングテープはカーブが切れないので、ボディコーナーは一旦切って
分割して貼らないと同じストライプにはならない。
連続が一気にできれば、小物3本以外は4本しかラインは無い。
ではストライプの状態を
アラウンドビュー!

その後、米国よりインチサイズ
のラインテープを入手!

リフィニッシュ時は
より正確なライン幅としている。
白塗装開始!

まずは1発目。当然透けている。
白2発目。
エルボーコンター辺りを見ると判りやすいが、まだまだ隠蔽しきれていない。
白3発目。

おおよそ黒が隠れたが、もう一発必要。

ここから若干黄色を混ぜてクリーム色に。
紙コップ1杯位の白に対して、黄色を10滴の割合。
写真では判りにくいが、白のギラギラ感が無くなった。
表層だけクリームなのは、日焼けを再現する為。
白4発目。

これにて完全に黒を隠しきった
マスキングテープをはがした所。
経験ある方は共感して頂けると思うが、この剥ぎ取りが意外と気持ち良い。

ラインの淵にケバ立ち等ありましたので、スクレーパーで削り取る。
全体に押さえのクリア塗布。
各パーツの取り付け。
ピックガード、シンクロブリッジ、ジャック、バックプレート、スプリングフック。
これはビス穴跡を正確に付ける為、白黒期に付いていたパーツを取り付けた。
もちろん、シンクロの6本穴も空けました。
パーツを取り外すと「めくれ」が各所に。
ハンドルーターでバリ取り。
左:バリ取りをした後。

右:センターピックアップの謎の穴。
  こちらはφ8.0のドリル使用。
1979年の赤にした直後の写真を参考にレリックを継続
赤の後ろに薄っすら黒くなった部分について白を剥ぎ取り黒を出し、
赤の下に木肌が出ている部分を木肌まで削り取る。

なお、白黒期から赤白黒に移るごく僅かな期間に、ストライプが太くなったり傷が増えている。
あまりにも不自然な傷の大量増加からすると、赤塗装前に足付けとしてサンディングしている
はずだ。
それも一部では#100より粗いのではないかと思うほどのペーパーを使っている。
エルボーコンターあたりは元々のすり減りもあり、#400程度で足付けしたのではないだろうか?
またまたアラウンドビュー
裏面
左:磨り減って生地が出たところ。ここに紙ヤスリの傷を出しては台無しだ。
きちんと段階的に目を細かくし、コンパウンドで仕上げ。

右:エッジ部は細かなぶつけ跡を再現。いろんな道具でコンコンと叩きまくる
凹みキズはきちんと凹ませる!それが自然なレリックの基本である!
エンドピン代わりのヒートン取り付け。
取り付け位置は白黒期フランケンに準じる
ヒートンにナスカンを付けてボディにグリグリ!
エディはナスカンを使っていたので、このキズが付かないはずが無い。
赤塗装用マスキングを開始。
テンプレートを基準に、矛盾がなるべく出ない様に調整。
左はニョロを作った状態。他のマスキングも順調
そして仕上がった様子

ここまでに使った時間は、マスキングだけで4時間位
裏面
6弦側側面
1弦側側面
ネック側側面
エンド側側面
試作機と比較しながらの作業
ここでマスキングが完了。

きちんと比較したことにより、1本ストライプ忘れが発覚。
この確認作業には充分時間をかけたい。
そして塗装。

黒の隠ぺい力を上げる為と、現物にもそんな様子が伺えるため1コートのみ吹く。
赤の塗装に移る。

リフィニッシュ時には、フランケンで使用したシュウィン自転車用の赤塗料と色比較して
決めたニッペホームプロダクツの赤を使用
赤2発目!
赤3発目。

だいぶ黒が隠れてきたので、これで良しとする。
そしてマスキングテープを剥ぐ。やはり気持ち良い!

写真は剥ぎ取ったマスキングテープ。
右が白塗装用で剥いだもの、
左が赤塗装用で剥いだもの。
実際には貼る時に端切れや調整、貼り直しもあったので、
かなりのマスキングテープを消耗した。
全部はぎ終わり、ヤニで黄ばんだ色を再現するために、飴色を部分的に吹いた
写真では判り難い
色押さえとしてクリア一発
飴色をもう少し吹いて調整し、
最後のクリア2発目を吹いて、塗装が完了!

1週間乾燥させた後、レリック処理を行う。
いよいよレリックを開始。
使った道具は主にスクレーパー、他は彫刻刀、ノミ、ドライバー、紙ヤスリ、とにかく
身近にある削る物を幅や深さや切れ味に合わせてチョイス。
左:エルボー部は特徴的なのでマジックで下書きをしてから削った
右:唯一拡大写真のあるピックアップ周辺は写真通り忠実に!

全体的にエディの写真を見て忠実にレリック。
リヤのキャビティ下は範囲が広くて大変だったが、ここもちゃんと時間をたっぷり
かけて写真通りに再現。
どうしても写真が無いボディエンド等はレプリカの写真を参考にした。
ナゾの穴は穴埋め用パテを使う。
左が出来た様子。
左:削り取った塗装片。
右:白木の部分は古び粉でグレーアウト!
  実はこのバックル傷の正確な再現が一番気を遣う所であり、
  集中力のある時にしかできない。
ピックアップキャビティも古び粉を水で溶いて筆塗り。
ボディがまだテカテカなのは不自然。
まずは#800で水研ぎ(左)。続いて#1200で水研ぎ(右)
自動車用コンパウンドでゴシゴシと仕上げ。
磨きすぎてツヤが出ると意味が無いので適度に。
ただ、エルボーコンターだけは服で磨かれる部分なので丁寧に磨き上げ。
そしてレリックが完了!
←ここが一番時間のかかった
ウエストコンターからスプリング
キャビティ周辺
削れ方も忠実にし、
キャビティ角の木の磨り減りも
再現した。
キズは削っているだけでは無い。深い傷は深く、
浅い傷は浅く凹ませている。
バックル傷だったらはバックルそのものを使う。
そうしなければ不自然だからだ。
レリック加工で一番大事な事だ。
ドライバー、プライヤー、金づち、色んな金具、
とにかく手近な物で傷を付けていく。