Real PEG



一般にフランケンレプリカを作る方のM6mini率は高いと思う。
ここは一歩踏み込んで、もっとリアルなペグを探ってみたい。

ペグの考察



1997年に撮影されたエディ本人機の写真を
良く見ると
M6とは違うペグを使っている

●ペグボタンが台形になっている。ビス穴位置もM6とは違う
●ネック自体は2006年にフランケンレプリカ作成にあたり
  サンプリングしたネックに間違いは無い。

ペグの流れを整理すると、

1978年 ラージヘッド白黒フランケン:M6系
1979年 スモールヘッド白黒の最終(細ストライプなし):M6系
1981年 黒ヘッド赤白黒フランケン:M6系
1981年 後年バンブルビィに移植されるネックが付いていた
     時期:M6系
1983年 PACERヘッド:確認できず
1983年 バナナヘッド:確認できず
1992年 バナナヘッド:M6系
1997年 スモールヘッド:ナゾのペグ
2006年 フランケンレプリカ採寸時:確認できず。M6に戻した?
2007年 チップエリスが作ったフランケンレプリカ:M6mini

継続してM6(or 類似品)を使っていたが、本人機の最後の
写真となる1997年の最終ネックになってから左写真の
このペグが使われている。

ちなみに、初期型2本ビス仕様のM6miniが付いていたらしきビス穴跡が残っている。チップエリスのフランケンレプリカも1ペグあたり3穴開けて1つだけ使っている
では、いつからこのペグになったのか?

実は、フランケンの最終ネックは1984年に発行されたPlayer誌別冊のTHE GUITAR3にて、140ページに写っているRASTER(左の緑赤黄)に使われていたネックである。(ついでにテンションバーも注目。フランケンのテンションバー穴がいくつも空いている中の一つが、この平らなテンションバーの物だ!)

細かな玉目位置とポジションマークの仕様を確認したので間違いないと思う。
このRASTER時に使われていたペグはM6だ。前項で書いた様に、2本ビス仕様の初期型M6miniだと思われる。
右のギターのペグがアップになっている理由は後述。

同誌に掲載されたフランケンは1980年仕様であった。
(STスモールヘッド、ロゴ削り跡、21F、コインなし、フロイドはファインチューナー付き試作品)

つまり、簡単にまとめると
最終フランケンに取り付けられるネックは、1980年時点ではこのRASTERに装着されており、
ペグは初期型M6miniが付いていた。と言う事になる

だから、このRASTERネックをフランケンに移植した際、

ネックとM6miniペグがセットで移植されなかった。
もしくは、セット移植後に謎のペグに交換した

と言う事になる。

このペグは、他にはどこかで使われていないのか?

●よく見ると、上のRASTERの横にあるKRAMER
 →上の写真の右拡大部参照

シンコーミュージック、THE GUITARMAN誌においては、
●P76/#10、Pacerシリーズ(上記RASTERの隣と同一機)
●P78/#18、Ripleyバナナヘッド

そのほか、
エディが師とするアランホールズワースのストラトモデル
●シャーベル製ナチュラル2ハム
●シャーベル製白1ハム(左写真)
●シャーベル製赤1ハム
にて確認できる。80年頃に多用されていたようだ。

これだけ多用されているとなると、シャーベルと関係のあったエディの
道具箱にはスペアパーツとしてこのペグがゴロゴロしていたかもしれない。
わざわざこのペグに交換した必然性は判らないが、エディがこのペグを
使うことには何ら疑問が無いことは判った。
このペグは市販品?ギター純正搭載専用品?手に入る可能性は?
このペグを買うには、使われている可能性の高い80年頃の
シャーベルを買ってペグだけ外さなければならないのか?
それとも当時同じ物が市販されていたのか?
ペグだけのためにシャーベル1本買うのは割に合わない

しかし、シャーベルのHPから前述の写真と同じペグを見つけられた

クラウンボタンと言うらしく、1981年〜1982年に採用されていたとの事。
このサイトにより、
このペグはゴトー製という事が判明した!
日本製となると単品入手の可能性がグンと広がる。

どうやら、シャーベルやクルーソンのコピーモデルではなく、ゴトー製のオリジナル
形状、もしくはシャーベルからのオーダーで作られた形状であろうと思われる

少なくとも、ゴトー製でクラウンボタンを使ったバリエーションの一つであろう。
ゴトー製ロトマチックでこのボタン形状となると思い当たるフシがある。
実は初めて買ったエレキギターはYAMAKI製Joodeeで、同じクラウンボタン
だった。
まさに上の写真通りのボタンが付いていた。ペグ本体形状は若干違って
いるがゴトー製である。
つまり、このJoodeeのペグのボタンだけはエディのフランケンと同一の物
であると判断した!
と言う事は、やはりゴトーのクラウンボタンペグのシリーズが
フランケンに使われているペグと考えられる
そして、ゴトー製クラウンボタンペグを入手
昔、Joodee用として持っていた物と違い

●ギヤケースは丸い形状
●ストリングポストはスリットなし
●ビス穴の出し方はフランケンの物と一緒
●ゴトーのGマークは入っていたが、磨いていたら消えた

動きもスムーズ、サビもほとんど無し
クロームめっきの浮きやツブツブ感も無し

そう、これこそがエディのフランケンに搭載されていた
クラウンボタンのペグと同じ物であると断言する!


長い道のりを経てやっと辿り着いた。
せっかくなのでM6miniとの比較
ギヤケースはM6よりもちょっと大きい感じがする。ビス穴位置からしても
M6mini互換というよりはM6互換かも?
裏面。
ゴトーには1〜3の刻印がある、4〜6は無い
6個のペグは1〜3が2セットという組み合わせになっている。
3:3の反対面が4〜6か?
ポストの高さはほぼ一緒。
ギヤケースの厚みはM6の方が薄い。
ナットと座金は若干形状が違う。
座金はシャーラーには斜めカットが入っている
ナットは長さも違うが、入れ替えてみても途中から回らない。
ねじピッチが僅かに違うようだ
ヘッドを貫通する部分の寸法

シャーラーは9.56mm
同じくゴトーは9.93mm

シャーラーより若干広いけど、ヘッドの改造は無しで
行けると思われる
付録:クラウンボタンの別バージョン発見! 
オークションにてクラウンボタン発見!
KRAMERギターとして出品されていた。

よく見ると、ビス固定の為のタン(シャーベルのHPによる命名)の角度が違う
入手したクラウンボタンとこの新種の、どっちがエディの物と一緒なのか?

この新種のタンは、どうやら45度出しと思われる。
そこで、手持ちの45度タンが付いたゴトー製M6コピーモデルと比較。

4弦ペグを見ると同じ向きにタンが出ていると思われる。
6弦に付けたフランケン用クラウンボタンペグのタンは、明らかに向きが違う。
やはり、このクラウンボタンペグはタンの出方が手持ちのペグとは
別バージョン
の新種となる。 
タンの出方を色々なパターンで比較する。

左から、

手持のクラウンボタン→ゴトー製45度タン→M6mini

ビス穴は45度タン用で、M6miniやフランケン用クラウンのビス位置との差が
はっきりと見て取れる
エディの本人機にて比較。
ビス穴位置を見ると、
A:初期のシャーラーM6mini(2本固定期)のビス跡
B:クラウンボタンを取り付けているビス位置
C:45度タンのペグを付けるとしたらこの位置に穴が空くはず

やはり45度タンの位置にビス穴は見当たらない。
だからエディのヘッドに空いた穴位置からすると、45度タンを取り付けられた
経験が無い事が判る。