1、塗装工程 | |
フランケンの作成工程について、正しくは真相は「エディのみぞ知る」としか言い様が無い。それを言ったらオシマイだが、そこを探るのが面白い! @ボディを入手した時は生地だったのか、黒まで塗ってあったのか?(その為に下図は「購入」が2箇所になっている) A白黒期のピックアップのザグリは、リヤだけか、3ポジションとも一気にやってあったか? この2つがハッキリするだけで工程が確定される。それまでは考えられる工程は下記の通り。 とりあえず私は赤矢印に従って進めたいと思う。 |
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1-@生地ボディを買ったか、黒ボディを買ったか? | |
エディがボディを入手した70年代後半はラッカー塗装が珍重されていなかった。 ジャパンヴィンテージでは80年代に入ってトーカイが54年ストラトのリアルコピーモデル発売に多大な尽力を注いだ際、 必須アイテムであった「ラッカー塗装」を全面的に売り物としたのが最初だったような気がする。 それまでの70年代はフェンダーといえども固くて塗装が楽なポリエステルが使われていた。 ここで注意。 世間で嫌われている分厚い「ポリ」塗装とは「ポリエステル」であり、「ポリウレタン」ではない。 「ポリでも充分薄い塗装が吹ける」 と言ったプロギタービルダーが居たが大きな間違いで、ポリエステルは厚く塗らなければ硬化できない。 そんなポリエステルは分厚い樹脂コーティングであり、木の鳴りを完全に無視した塗装であるため、ギターとしては毛嫌いされている。 一方、薄く塗れるのはポリウレタンであり、ラッカーの耐候性を上げた塗装と考えて良く、ネガティブな塗装ではない。 もしその分厚い樹脂コーティングであるポリエステルで塗られた黒ボディを購入したとした場合、いくらギターの扱いが雑と言えども 木地が出るほど堅いポリ塗装が「擦れて」剥げる事は無く、生地が出る時は剥げではなく「割れて欠ける」様子になるが、フランケンにその様子は無く、 レリック状態とは矛盾する。 なお、ポリエステルは小分け販売しておらず、大量購入の上に、一度開けると化学反応により硬化する。また硬化の時に異臭も放つ。 塗料自体も高額だ。 だから、ギター1本を個人で塗装する為にポリエステルを使うと言う事は事実上あり得ない。 重ねて言う。ポリウレタンではなく、ポリエステルではあり得ない。 余談だが、 量産工場、特に海外工場で塗料が高いのにポリエステルが主で使われる理由は、一度に分厚く塗装でき、すぐ硬化し、あっという間にサンディング出来る為 単色でも25コート以上の吹き付けとサンディングを繰り返すラッカーとは工賃に雲泥の差がある。だから、塗料がたとえ高額であってもトータルでは安く作る 事ができる。 また、ポリエステルは吹き付けではなく、ジャブ漬けでもできるらしいので、塗装の技術も全く必要が無い ではポリウレタンだったらどうなるか? 同じくエディが使用した5150はベースの白に赤を重ねてストライプとしているが、生地の白が意外と擦れずに残っている。 とはいえ、激しい所ではちゃんと白がすり減っている。 基本カラーのフランケンの黒と5150の白を比較すると、塗装強度は 【5150>フランケン】 と見て取れることから、 5150がポリウレタン、フランケンがラッカー、である可能性が高いと思う。 結果、生地ボディを購入し、木地を整える工程をごく軽く踏んで→黒塗装→白塗装→赤塗装としたと私は思う。 |
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1-Aピックアップキャビティのざぐりは、最初からFCRか、Rだけだったか? | |
エディがリヤにハムバッカー(以降HB)を搭載したのは、クラブバンド時代に使っていた1961年製ストラトキャスターに HB化改造を加えてからとなる。 つまり、フランケンを作る時には大前提としてリヤはお気に入りのHBを搭載する為のキャビティが必要であったと思われる。 それは白黒期最初からの加工であったと考えるべきだと思う。 センターは、一時期テレキャスター用のリヤピックアップを付けていた時代があり、センターのキャビティのザグリっぷりは、 このピックアップが収まるようにできている。 そのタイミングを考えてみると、 白黒フランケン期にスペアギターとして持っていた、未塗装と思われるストラトがあり、ピックガードには フロント:後に赤白黒フランケンに搭載される赤いリネンフェノールピックアップ センター:テレキャスター用リヤピックアップ リヤ:HB が搭載されている。 どうやら、白黒最終期と赤白黒最初期にはこの未塗装ストラトから移植された白ピックガードアッセンブリーが搭載されていた。 つまり、この赤白黒に向かう過渡期にてセンターピックアップキャビティをテレキャスター用リヤピックアップが 収まるようにしなければならなかった。 逆に言うと! それまではセンターにテレ用を収める必要がなかった=テレ用ザグリをする必要がなかった!のではないか? だから、フロント〜センターピックアップにかけてのザグリは白黒フランケン期のどこか途中で作業したものだと思われる。 以上の理由から、私は上図の赤矢印工程を選択した。 私の勝手な想像なので、これをベースに各自想像を膨らませてください。誰もエディから話が聞いた訳ではないので! 想像もフランケン作りの醍醐味と思えばこれも一つの楽しみである。 ↑タイトルへ戻る |
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2、塗装厚み | |
塗装について試作をして感じた事。 黒を塗った後に白を塗るわけだが、白は黒を完全に潰さなくてはならず、多少の塗り重ねだけでは白くなっては くれない。 その結果、塗膜厚は黒<白となってしまった。 すると、、白黒期レリックをした際に白を剥いだとたんに黒が剥げきってしまいボディ生地がすぐに露出してしまう。 つまり、白よりも黒が塗膜が強い、もしくは厚い事が必要となる。 黒を潰すには白を3回は吹かなければならない。 試作した感触から想像すると、黒の塗膜厚みは白の3倍程度は必要と思われ、 逆算すると10回程度吹かなければならないと思う 恐らくエディに近い状態にするには、このコンディションが優位であろう。 (赤は3発としたが、実際には黒の浮き出方を見ながら、実機に近い状態で止める。塗料により違いがあるので 最終判断はフィーリングに頼る事になる) |
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これを簡単に作るには、黒をポリエステル、白と赤をラッカーにすれば黒が強烈に強くなる。 但し、「1・塗装工程」で書いた通り、エディがボディを買った時点でポリエステル塗装はしていなかったと考える。 しかし、ホームペーインターがフランケンを塗るには簡単な方法である事は確かだ。 黒のポリエステル塗装済のボディに、比率が白:赤=1:2位でオーバーペイントすることになる 但し、レリックで木地を出すのが困難、もしくは不自然である為、ノンレリック版に限る |
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しかし、 仕上がりの音を重視したいのでポリエステルは使いたくない! 下塗りから全てニトロセルロースラッカーで攻めたい! その為には黒を10回も吹かなくてもレリック処理で簡単に剥げないようにするにはどうするか? その対策は、黒と白の間にシーラーを吹くという対策だ。 サンジングシーラーは肉厚であり通常の着色の2倍程厚い。若干の曇りはあるが、ほぼ透明である。 「白が黒を隠蔽するのに3発必要」から逆算すると、赤3発、白3発、シーラー3発、黒3発、となる。 これは失敗しないレリックに有効だと思う |
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3、塗料入手 | |
1976年カタログより 1980年カタログより 1980年カタログの拡大 |
エディが使った塗料 エディが使った塗料は、米国自転車メーカー"Schwinn社"の自転車用ペイントというのが有名だ。 Schwinn社は1895年創業で、レーサーから婦人車までラインナップし、現在も活躍中だ。 日本では取扱店が少ないため、一般にはあまり知られていないかもしれない。 初期のレーサー 家族用タンデム 5人乗りタンデムレーサー(!) エディが使用したフランケンの赤は「Bright Red」、だ。(5150はサンセットオレンジ) 左の写真は、上のスプレーが1976年のカタログ、下の物が1980年のカタログ。1977年以降で デザインが変更された。 このスプレー缶の注目点は、エディが吹いた時期のSchwinnペイントが”ラッカー製”である事。 では、Schwinn製ラッカー缶を入手すれば話は早そうだが、現在すでに米国内でも流通していない。 コピーブランドであれば米国で$40程度で手に入るようだが、そのコピー塗料は”ウレタン製”になっている。 つまり、今現在市販されているSchwinn用スプレー缶を購入してもちょっと違う!と言う事だ。 第一、輸入ができないし、海を越えたとしても国内輸送すらしてもらえない。 ウレタンに変わってしまった理由は環境問題だ。 米国では州によってラッカーが使用禁止になっている。 もう一つ、変質によって爆発物になるニトロセルロースラッカーはテロ対策により使用できない。 (それはたとえ、G社やF社でもラッカーフィニッシュが完全に消えざるを得ない時が遠からず必ず来るとも言える) 要点 ●エディはフランケンの赤塗装にSchwinn製の"ラッカー"スプレーを使用 ●赤の色名は、Bright Red ●現在同じスプレーは入手不可、米国で流通しているコピー塗料は ウレタン製だからちょっと違う。但し、カラーサンプルとしては有効 ●いずれにしても輸入も国内輸送も簡単ではない! |
しかし!塗料が輸入不可能でもあきらめてはいけない。 散々考えた挙句に思いついたのは、 塗装されたSchwinnの自転車なら日本でも手に入る。それはカラーサンプルにできる そして散々探して入手したのは、Schwinn自転車のフロントフォーク。 それをEVH製フランケンレプリカをお持ちの方のご協力により色比較をしてみた。 太陽光の下で比べて頂いた所、予定通り酷似! 実際に比較された方が見た印象(これが大事)によると、この色で汚しやくすみのレリック加工 をすれば一緒になるであろうと。 この大きな成果にて、改めて結論。 エディがSchwinn製ペイントでフランケンを塗った、 この説はどうやら正解であった。 そして、自転車パーツ購入でカラーサンプルも入手できた! |
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そのフロントフォークに近い色を探す。壮大な冒険の旅になるかと思いきや、 実は常用しているカラーペイントが実に酷似していた。 缶の後ろでカップに開けた色と、フロントフォークの色はかなり近いと思う。 ニッペホームプロダクツ株式会社のハケ塗り用ラッカー「赤」。 http://www.nippehome.co.jp/prd/hk_003.html 私はガン吹きなのでこれを使えるが、一般的には缶スプレーに頼る事になるだろう。 ニッペの缶スプレーで近似色がある可能性が高いかもしれない。 |
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