タバコの焦げ跡について


フランケンのヘッドについた、この有名なタバコの焦げ跡。
もちろん、レプリカを作る際の必須アイテムになっている。
この焦げ跡を再現してみたい。

まずは検証の準備
焦げ跡が付いた理由は簡単。
プレー中に吸っているタバコを一旦置く時、いちいち灰皿のある所まで行く訳には
行かず、手っ取り早く固定できるヘッドと弦の隙間に差し込んでそのままジリジリと
焦げただけ。

だから、これを再現するには塗装ではなく実際にタバコで焦がすのが一番!

同じ焼け焦げがクラプトンのブラッキーにも付いている。

スモーカーギタリストの定番!

これがJT扱いの日本製Winston

これがUSAで売られている現行品
私はタバコは吸わない。と言うより吸ったことが無い。
だから、焦げ具合、ヤニの付き方がタバコ毎に個性があるかどうかなんて
全く知らない。が、違って然るべきであると信じる。
だからこそ、
エディと同じ銘柄のタバコで焦がすのがベストだ。

色んな写真やサイトを調べたが、どうやら
「WINSTON」という意見が多い。
違うブランドを吸っている写真もあるが、確率の高そうなこの意見を尊重し
進める事にする。

ただ、焦げ方をリアルにしたいなら、JTが扱う日本製ではなく、米国で流通している
Winstonにこだわり、海外出張者からお土産で頂いた。
(タバコを吸わない私がタバコをねだる事に疑問はあった様だ)
用意したアイテムは
@テスト用ネック(赤白黒試作機用)
A米国製Winston
B実験用板。

実験用板の素材は栓。20mm厚を、ヘッドと同じ位の約13mmまで削り、
ペグ4個を取り付け、0.46ゲージを張ったもの。

仕上げは3ブロックに分けられ、

●オイルフィニッシュ、
●ラッカーフィニッシュ
●生地のまま

これを使って、どうやったら同じ様な焦げ跡ができるか検証する。
実際に焦がしてみる
まずはこちらができあがりのイラスト。

上の写真でも良いのだが、一度詳しく感じ取るためにもイラストにしてみた。
そのプロセスで細かなところまで気がつく事が多い。

もちろん素材写真はフランケンレプリカではなくて1997年の
リアルフランケンからトレース
では、どうやったらこの様に美味しそうに焼けるか

タバコの配置はこんな感じでなければ成立しない。
しかも、4以外はフィルターが付いているとこうは焼けない。
とすると、Winstonではないのか?
Winstonを吸っていた時代とこのネックを使っていた時代が
合っているかどうかが判らないし、写真を色々と調べても
タバコの箱が写っている写真が少ない。
マルボロのデザインに見えるような写真があったりもする。
ここは謎であるが、国産タバコよりはアメリカで流通しているタバコで、
一度でも愛用した銘柄であればそれで良しとしたい。
ここで注目!
@とAは完全に焦げていない。ヤニが染み付いただけ?でもちょっと焼け具合がアッサリしている
BからDは焦げてはいるものの焼き具合はミディアム位(クラプトンのブラッキーがウェルダンとして)
だから、何度も何度も焼いたとは考えにくい。せいぜい2・3回。@Aは1回程度かもしれない。
@が一番刺しやすそうな気がするので、一回だけと言うのは疑問だ。
しかし、刺しやすいと言う事は頻繁に取りやすい。だから吸いかけを刺したまま放置された確率が低いのかも知れない。
まずはこの実験台で焼きを入れてみる。
いきなりネックで失敗してもやり直しができないので慎重になる。

先ほども書いたが、実験用板の素材は13mm厚の栓。

本当はリアルフランケンのネックはオイルフィニッシュなのでOILだけで良いのだが、
今回はラッカーフィニッシュと未塗装の生地面を比較の為に用意した。
さて、タバコを挿して火を点けた様子。
草が見えます、そうです、危ないから外でやりました

タバコを吸わない私には着火だけでも難関である。
タバコを挿し込んでから着火し、風に煽らせてしっかり火をつかせた

焦げも順調に進行している!
オイルフィニッシュで焦がしている様子。
弦まで行ったら火が消えてしまった!
エディが焦がした時も吸わないで放って置いたので、消えたら消えたでOK。
それも実験して確認した成果。
他のタバコも弦で消えたので、どうやら弦に熱を吸われてしまう様だ
オイルフィニッシュ部の焦げ跡。しっかり焦げてる!

これでは@とAのレアは再現できないから、オイルフィニッシュではなさそうだ。
続いてラッカー。
こちらもOIL同様に石油製品だ。だから、ラッカー層が焼けて、
しっかりと焦るんじゃないかと予想している
これがラッカーの焦げた跡。
意外と早く火が消えてしまった。片方だけが早く消え、一方は弦で消えたので、
早く消えたのは(サンプルは少ないのだが)偶然だと思われる。
ラッカーの特徴はタバコの紙の燃えカスがラッカーに付着している。
焦げ具合はオイルと一緒くらい。予想通り充分に焦げている。
さて、最後は未塗装の生地。

ラッカーやオイルよりは焦げていない感じ。
表面に石油製品の層が無い為か??
生地の焦げた様子。
やはり火は弦の所で消えていた。

やはり焦げ方はラッカーやオイルよりはユルい。
ヘッド全体の絵で書いた@とAは、こんな焦げ具合が丁度良いかもしれない。
そう考えると、意外とエディのネックは未塗装の確率が高い!
焦げ方を比べるとこんな様子。
オイルと生地は弦の部分で火が消えて、ラッカーは途中で消えてしまった。
また、「ラッカー」と「オイル」は同程度に焼け過ぎ、「生地」はあまり焦げていない
タバコの焦げ具合だけで見ると、エディのネックは未塗装と思われる。
ただ、全くの未塗装であればコンディション維持は並大抵の物ではないので
プロの機材としては実際にはあり得ないだろう。
だから、ネックのグリップ部や指板面は通説通りオイルだとしても、ヘッドは未塗装。
逆に、基本は未塗装ネックであったが、手が触れる部分だけはオイルで仕上げた、
もしくは手入れ用オイルを手の触れる部分に使っていたかもしれない。
さあ、本番!

焦げ跡から再現するとタバコはこんな配置になる。
一番下はフィルターありでも無しでも良かったが、
焦がしすぎると大変なのでフィルターをつけておいた

もちろん銘柄はウィンストンで、アメリカで販売されている物!
さて、@とAの焦げすぎ対策、散々考慮した挙句写真の様にした。
手前2本がちょっと斜めに浮いてるのが判るだろうか?
他はピッタリ付けてよく焦げる様にしてある 
別アングルから。

奥の2本が浮いているのが判ると思う
一番手前のタバコがもっとしっかりがんばってくれないといけないんだが、
ちょっと消えそう。もう少し長く挿し込んでやれば良かったのか??
当然屋外で実施。
火の用心!
これが出来上がり!なかなか良く焼けてる。

@Aは狙い通り他よりも焼けていない。が、もうちょっと薄いほうが良かった

いずれにしろ、リアルフランケンの焦げにしても偶然の産物である。
偶然を再現するには相当条件を絞り込まなくてはならないが、
情報の薄い極東地域ではこの程度にできれば上出来ではないだろうか?
少なくとも、ペイントで焦げた風にしたのでは全てが台無し、こんな所で妥協は無い!。