5150の塗装

5150にエディが施した塗装を再現したい。
ノンレリックのキレイな5150を作るのであればGuitar-Craftのコーナーで作った
5150
1号機通りで、これは通常のギターペイントの方法を踏襲している。
ここで考察するのはエディが実際に5150に施した塗装方法とその再現だ。

エディが5150を作った過程は、雑誌ギターマン等で解説されているが、同誌を抜粋・要約すると、

「エディが初めてエンドース契約をしたのがKramer社。82年のインタビューで5150作成中を匂わせ、フランケンと同じ色とPUのダイレクトマウント、そして赤白にペイントしてもらった、と公言している。そのユニット当時Kramer開発していた「Pacer Special」の初期プロトである」と。

この「赤白にペイントしてもらった」というのが曲者で、エディの情報操作は日常茶飯事なので鵜呑みにはできない。
そもそも、ストライプのセンスはエディのものと思われるし、サイドの太い線にトップやバックからの細い線が重なる部分では太い線の直前で細い線が途切れている部分があり、万人からのクレームを念頭に入れるあろうメーカーの仕事とは思えない。
少なくともストライプを巻いたのは(マスキングしたのは)エディ本人であるだろう。

そして、だれがペイントしたのか。これも諸説あると思う。
そこを私なりに紐解いてみたい。


1976年カタログより

1980年カタログより

1980年カタログの拡大
エディが使った塗料

エディが使った塗料は、米国自転車メーカー"Schwinn社"の自転車用ペイントというのが有名だ。

Schwinn社は1895年創業で、レーサーから婦人車までラインナップし、現在も活躍中だ。
日本では取扱店が少ないため、一般にはあまり知られていないかもしれない。


 初期のレーサー         家族用タンデム      5人乗りタンデムレーサー(!)

エディが使用した表面の赤は「Sunset Orange」、カラーコードは、72-734になる。
ちなみに、フランケンは同じSchwinn製で、「Bright Red」だ。

そのサンセットオレンジを塗った自転車は、1979年のカタログにはあるが、
1980年以降のカタログには掲載されていない。
補修用スプレーも1970年〜1983年のカタログにしか掲載されていない。
エディが5150塗装用に使ったという事には矛盾が無い。

左の写真は、上のスプレーが1976年のカタログ、下の物が1980年のカタログ。1977年以降で
デザインが変更された。

このスプレー缶の注目点は、エディが吹いた時期のSchwinnペイントが”ラッカー製”である事。

では、Schwinn製ラッカー缶を入手すれば話は早そうだが、現在すでに米国内でも流通していない。
コピーブランドであれば米国で$40程度で手に入るようだが、
そのコピー塗料は”ウレタン製”になっている。
つまり、今現在市販されているSchwinn用スプレー缶を購入しても意味が無い!と言う事だ!
第一、輸入ができないし、海を越えたとしても国内輸送すらしてもらえない。

ウレタンに変わってしまった理由は環境問題だ。米国では州によってラッカーが使用禁止になっている。
もう一つ、変質によって爆発物になるニトロセルロースラッカーはテロ対策により使用できない。
(G社もF社も、ラッカーフィニッシュが完全に消えざるを得ない時が、必ず来るという意味でもある!)

要点
●エディは5150の赤塗装にSchwinn製の"ラッカー"スプレーを使用
●赤の色名は、Sunset Orange。と言う事は、それなりにオレンジなはず。
●現在同じスプレーは入手不可、米国で流通しているコピー塗料は"ウレタン"製の為使用不可
●よって、その色味は写真等を参考に作り出すしかない。
塗装方法

何を使って塗るべきかがわかったところで、エディ自身が塗ったのか、メーカーが塗ったのか、が問題だ。

少なくともエンドース関係にあるエディはKramerに対してデザインを提供し、塗らせる事はいとも容易い話。
しかし、5150については塗装を見る限りメーカーが行っているとは到底思えない。

その理由は、前述通り、ストライプのセンスはエディそのもので、太い線の手前で細い線が半端に切れているような職人のマスキングとは思えない仕事や、
黒に至ってはストライプ幅に開口した段ボールか厚紙で塗っているし、5150ステッカーの0の部分で塗装の垂れが確認できる。

というのは赤と黒の話。

白についてはウレタン塗装を思われるが、この時代にウレタン缶スプレーがSearsみたいなショッピングセンターで気安く買えたかというと、それは無いと思う。
が、プロの塗装にしては仕上がりが薄い。
ここはどちらとも言い切れないが、白はKramerが塗って準備していた可能性がある。
なお、バスウッドに白ラッカーを直接吹くと、ほとんどが吸い込まれてしまい着色どころではない。
なので、エディがラッカーで白を吹いたというセンは無いであろう。
塗装状態

5150ではピック固定用テープを剥いだ跡がブツブツと剥離している。
これは白と赤の食いつきが悪い、また、ラッカーの重ね塗りの化学反応が起きていないところからすると、異種塗料の重ね塗りと判断する。
最終的にレリックまでした感触からすると、白ウレタン、赤黒がラッカーというのが正解だろう。

●白は下地になるから、しっかりとウレタンを吹いた
●赤は着色目的。白地に赤はさほど厚塗りする必要はないので、2コート位したところで
 「イイ感じの色じゃん」って止めたら、薄くなってしまった。黒は「いいじゃん」が
 ひと塗り目でできちゃった

そんなイメージだったと想像する。

また、黒が赤白境目ラインで剥げている。これは、赤白ストライプ完成時に一切の平滑処理を
していない証拠だ。
具体的には、マスキングをしたマスキングテープのエッジに塗装が溜まりやすいので、ストライプの境目は
塗膜が尖ってしまう。その境目でエッジ部の黒が剥げていると言う事は、平滑処理をしていない証拠だ。
つまり、吹きっぱなし
ではそのカラーサンプルはこちら!  
時代を感じる写真もww
フロントフォーク先端にメッキ。
国産でもあったな〜