ベースとすべきギターの考察

改造ベースとなるギターは何が良いのか?

本人の物はIbanez 2459と言われている。
メジャーデビュー前の写真を見ると、この白を弾いている写真が存在する。
(但し、ボディエンドは切られていない)

右にカタログの写真を載せる。
この写真の下にスペックが書かれているが、内容は下記の通り。
後述するが、種々疑問はある。

body : selected solid ash
neck : Lamineted maple Set In neck
Pickups : Twin chrome plated Super 70 pickups.
Controls : One tone and two volume contorols.
Frets : 22 frets
Machine heads : Chrome plated Smooth-Tuner
Finish : African Korina finish

Full Length : 44"
Width : 22-1/2" X 17"
Body Depth : 1-1/2"
Scale : 24-3/4"

さて、このIbanez、カタログ上では1976年の1年しかなく、
生産本数も100本程度(以下?)と思われる。

今回、Ibanezの現物を取材・採寸させて頂いたが、かなりの高額であったそうだ。
実際、そんな貴重なギターを切り刻む訳には行かない。
私の感覚では、むしろGibsonを切り刻む方が心が痛まないと思う。
(Gibsonの中古の方が安く手に入るし、量もそれなりにある)

だから、Ibanezをベースとする事は、たとえ手元にあったとしても回避したい。

ではどうするか?
兄弟機として、Greco EX800がある。
こちらは1976年〜1981年まで生産され、1982年では一旦カタログから抹消されるが
少なくとも数百本は作られている。(1983年からEX-80が載るが、今回の対象からは外す)

右の写真は1976年のGrecoカタログの抜粋である。
ボディ材がIbanezはアッシュであるが、Grecoはセンとなっている。
実は、この頃のGrecoではAshと書いて実はセン、
ラッカーフィニッシュと書いて実はウレタン
なんて事は良くあったし、実際にそういう個体を多く見かける。
だから、この違いは無視すべきである。

なぜIbanezとGrecoが兄弟機なのか?

例えば、GrecoのGOは同型機がIbanezにある、
GrecoのMirageはIbanezのIcemanそのものだ。
Ibanezが星野楽器、Grecoは神田商会、販社は違えど、製造は共通して富士弦楽器である。
当時、3社は良い関係であり、開発は協力しあっていた為、類似モデルが
IbanezとGrecoの双方に存在する事になる。
70年代にGrecoのカタログを穴が空くほど眺めた経験をお持ちの方
であればこれは既知の事実であり、ご納得頂けると思う。

さらに、裏取りの取材を行った。

【裏付け1】
当時の富士弦楽器で製造を担当していた方に直接お話しを伺えた。
2459とEX800は全く同じ治具や設備で生産され、
ロゴだけを張り替えていたとの事である。
ではなぜEX800と違い、2459がたった1年で消えたのか?
同時に発売したフーチュラのコピーモデル”2469”があるが、こちらがGibson社からの
クレームにより撤退せざるを得なかった様だ。
どうやらそのとばっちりを食ったのであろう。

【裏付け2】
IbanezとEX800の双方を採寸し、比較する。現物照合を実施。
当然、これが一番の事実となる。
その比較が下段の図だ。
結果、 加工時にサンディング等もあるので、1,2mmは誤差として考えると
充分に「同じ形状」と断言できる。

形状の誤差が出る要因として、
(1)量産による治具のヘタりにより形状が徐々に変化(Fender Stratocasterに見られる)
  Grecoは1977年であったが、生産量が100台単位での差しかなく、
  治具がヘタって作り直しは無いと思われる
(2)NC工作機械を使っていない
  富士弦楽器がNCマシンを導入したのは1981年。
  それ以前はテンプレートによる型取り+手加工なので、
  1,2mmの誤差で納めるのはむしろ立派だと思う。
Ibanezが青、grecoが赤。
手書きトレースであるので、所々の
はみ出しが生々しい。

どちらかが大きく逸れている様子は無い。
結果、
IbanezとGrecoの外形は全く一緒であり、
証言の一つ目の裏が取れた。


参考:
今回アウトラインをトレースする為に作った
治具である。
変形ボトルでも治具先端の矢印を計測面
に合わせれば正確にトレースできる。
ボトル底面に引かれた線を見て頂きたい。

同じ治具を使ってIbanezとGrecoの
双方をトレースした事に大きな意味がある。

せっかくなので、今回取材させて頂いた貴重なIbanez2459。御覧の通りのミントコンディション!
結論
シャークを作成するベースとなるギターは、Greco EX800が良い。
(但し、決して安くは無いが)


もちろん、入手できればIbanezがベストだが、残存個体が少なく入手困難である為
できればIbanezは切り刻んで欲しくないと個人的に思う。
いずれにしても、ロゴ違いではある上に、ロゴはストライプで塗りつぶされてしまう。